米国教育省『教育概観』
ごあいさつ
教育は、いつの時代でも米国の優先課題である。初期の入植者たちは、学校や大学を設立し、子供たちが実りある生活を送れるよう教育に力を注いだ。こうした伝統は現在も受け継がれている。
米国の教育制度は、海外のアイデアを取り入れ、独自の要素を加えることにより発展してきた。他の多くの国々と同じように、われわれも状況の変化に対応し、即応し、新たな工夫をこらしてきた。
今日、われわれは、あらゆるレベルを合わせると7,000万人以上の学生・生徒を教育しており、世界有数の頭脳を輩出している。それでもなお、われわれは引き続き教育の改善に取り組んでいる。われわれは、わが国の学校、教師、学校運営者、そして、誰よりも若者たちを誇りに思っている。
2001年、ブッシュ大統領は、生徒の学力の伸び悩みや、低所得層の生徒と裕福な生徒の間の学力差などに取り組むために、「落ちこぼれをつくらないための初等中等教育法」を成立させ、国を挙げて子供たちの教育方法を改善するように促した。
世界各国からやってくる来訪者たちは、わが国の学校についてひんぱんに質問してくる。もちろんこれは当然のことである。世界が日々収縮しており、だれもが他国の文化についてもっとよく知りたがっているからである。
そこで、われわれはこの小冊子を用意し、米国における教育の概要を説明することにした。その内容は、歴史的経緯にとどまらず、教育の体系、分権化、資金面などの問題点にも言及している。
この冊子が皆様の役に立つことを願っている。また、皆様の国内での経験もお聞かせいただきたい。われわれにとって学ぶべきことが多々あると思う。
最後に、われわれはみな、21世紀が希望と繁栄と平和に満ちた世界になるように、子供たちを教育することを望んでいる。米連邦政府教育省は、皆様と協力し合う機会が訪れることを念願しています。
ロッド・ペイジ
米国教育長官
序文
米連邦政府教育省は、毎年、米国の教育について理解を深めたいという諸外国の方々から多くの問い合わせを受けている。手紙による質問もあれば、教育省を訪れる多数の外国人訪問者から、直接質問を受ける場合もある。
この冊子は、こうした問い合わせに対応し、順序よく情報を提供するため、米国の教育における重要な側面と一般的な特質を、簡潔に説明することを意図したものである。米国の教育は高度に分権化が進んでいるので、教育政策やその実践は、州、あるいは学区ごとにかなりの違いが見られる場合がある。この点に留意し、この小冊子では、米国における教育慣行の平均的な姿と一般的な様式を紹介している。
個別の教育政策とその運営について知りたい場合は、地区または州の教育機関に接触して頂きたい。特定の分野で情報をほしい方のために、冊子の至るところにインターネットアドレスを記載しておいた。
はじめに
米国の教育制度は高度に分権化されている。アメリカ合衆国憲法(1787)修正第10条(1791)は次のように述べている。「本憲法によって合衆国に委任されておらず、また州に対して禁止されていない権限は、それぞれの州または人民に留保される。」これに基づき、公立学校の設立、運営に関する総合的権限は州に委ねられている。全米一律の学校制度は存在しない。また、カリキュラム(教育課程)を定めたり、あるいはそれ以外の多くの側面で教育管理を行うための全米一律の法的枠組も存在しない。連邦政府は、教育面で重要な役割を果たしているが、いずれの教育段階においても、学校の設立や認可はもとより、教育機関の管理を行うことはない。(注1)
米国における教育の分権的性格の起源は、米国史の初期の段階にまで遡る。17世紀および18世紀の初頭にかけて、後にアメリカ合衆国となる地域では、ヨーロッパ諸国から渡ってきた移住者たちが別々に築いた植民地の集まりとして発足した。合衆国を形成した13の英植民地では、植民地政府が教育を担当し、また、植民地によっては、地域共同体がその役割を担っていた。地域共同体ごとに自分たちの学校を作り、運営するのが通例だった。地域共同体はそれぞれの優先順位、価値観、必要性に応じて、子供たちを教育した。このような歴史を顧みると、州と地域の政府がなぜ現在に至るまで、初等・中等教育の政策や運営に大きな権限を持ち続けているかが理解できる。高等教育に関わる各機関も、建国以来、伝統的に大きな独立性 を享受しており、現在に至るまで高い自主性を保ち続けている。
このあと本冊子は、米国史上特筆すべき「2001年 落ちこぼれをつくらないための初等中等教育法」(以下「落ちこぼれ防止教育法」の略称を用いる)について述べる。第1部では、米国の教育組織・体系を概観し、第2部では、教育政策、運営、資金の面で、連邦・州・地域の3つのレベルの政府が担う役割について、とくに初等・中等教育主眼をおいて説明する。
落ちこぼれ防止教育法 - 新時代を招き入れた法律
2001年落ちこぼれ防止教育法(No Child Left Behind)は、生徒の学力向上と米国の学校文化の変革を目指した教育改革の画期的な立法である。(注2)
この法律は、超党派圧倒的支持を受けて議会を通過し、2002年1月8日、ジョージ・W・ブッシュ大統領が署名して成立した。明らかにわれわれの子供たちはわれわれの未来である。だが、ブッシュ大統領が明言したように「わが国の貧困家庭の子供たちがあまりにも多く落ちこぼれている」のである。
「落ちこぼれ防止教育法」の通過を受けて、議会は初等中等教育法(ESEA)を再度承認した。これは、幼稚園から高校に至るまでの教育に影響を与える最も重要な連邦法である。ESEAの改正にあたり、新法は、連邦政府による初等・中等教育支援策を徹底的に見直している。州は連邦政府から教育資金の助成を受ける代わりに、その州のすべての子供に施される教育の質的向上に資金が活用されることを保証するため、説明責任制度を設けることが義務づけられた。
なぜ「落ちこぼれ防止教育法」は重要なのか
1965年、初等中等教育法(ESEA)が最初に議会を通過して以来、2003年までに連邦政府は、2,420億ドル以上を費やして、教育の機会に恵まれない子供たちを支援してきた。にもかかわらず、学業成績でみた貧富による差、白人と少数民族の生徒との差は開いたままである。読解力に関する最新の全米学力調査(NAEP)は2002年に実施されたが、これによると、4年生では、着実に成績向上を示して「熟達レベル」で読むことが出来た生徒は、全体のわずか31パーセントであった。成績最上位の生徒の得点は長期的に見て上昇したのに対して、最下位のグループの生徒の得点は下がる結果となった。(注3)
良いニュースもある。それは全米の都市部で、過去の成績が低迷していた子供の学力を向上させた学校も出てきたことだ。いくつかの学校にできることなら、すべての学校にできるはずだ。これが、「落ちこぼれ防止教育法」の目的である。この法律は良識的な4つの柱に基づいている。それはすなわち、成績に対する説明責任を、科学的調査に基づく施策の重視、保護者に対する選択肢の拡充、地域の現場管理と柔軟性の拡大、の4点である。
成績に対する説明責任
改善を必要とする学校および地域を特定する
「落ちこぼれ防止教育法」は、同法で規定された成績説明責任条項の一環として、2013-2014学年度末までに、あらゆる子供が州の教育基準で定めた熟達レベルを達成することを目的に設定している。この目的を達成するため、各州は学習の進捗状況を測定し、すべての子供が間違いなく学んでいることを確認するための基準作りを行った。どの子供もこぼれ落ちないように、各州は、生徒の学力データを区分けし、分類して、その各グループに対する責任を各学校に負わせることが求められている。成績データは異なる人種や民族の子供、障害のある生徒、経済的に恵まれない家庭の生徒、そして英語を第2言語として学んでいる子供、という風に分類し、分析される。こうした分析方法により、各学校は州の学力期待値を達成するため に追加援助が必要な生徒集団を特定することができる。
「落ちこぼれ防止教育法」では、州が定めた「1年間の成績の適切な向上」を2年間連続して達成できなかった学校(学校全体、またはいずれかの主な成績下位集団)は、「要改善」と見なされ、改善のための支援を受けられる。「落ちこぼれを防止教育法」に基づく評価は、各学校が改善を必要とする科目や指導方法を特定するうえで役立っている。たとえば、読解の得点が州の基準に達しない場合、その学校は読解のカリキュラムを改善する必要があることに気が付く。
以前なら、こうした学校が注目されることも、改善に必要な支援を得られることもなかったかも知れない。「落ちこぼれ防止教育法」が出来たことにより、各州はすべての在校生の要求に応えられない学校を、今後は絶対に放置しておかないことを誓ったのである。
改善を必要とする学校を支援する
ESEAの第I章:恵まれない子供の学力改善 は、経済的に苦しい生徒が高い比率で集中している州、地域学区、学校を対象に助成金を与えるもので、これにより、貧困家庭の子供の教育を改善し、成績不振校の状況を好転させ、教師の質を向上させるとともに、保護者の選択の幅を広げることを目的としている。第I章に該当する学校が「要改善」であることが判明した場合、学校当局は保護者、学校職員、地域および外部の専門家と共に、改善策を打ち出すことが義務づけられている。
学校が立てる改善計画には、科学的調査に基づいて、主要科目、とりわけ当該校が要改善と見なされることになった科目の分野での指導を強化する対策を盛り込まなくてはならない。要改善となった学校は、保護者の学校への効果的な参加を促すとともに、教師も対象とした指導計画を取り入れた具体策を作ることが求められる。
教師と校長に、よりよい情報を提供し、教え方と学び方を改善する
毎年実施される学力進捗測定により、教師はそれぞれの子供の得意分野と弱点に関する客観的な情報を入手できる。これを踏まえて、教師は各生徒が基準を満たすか、それ以上の成果をあげられるように授業を工夫することが可能になる。さらに、校長はこうしたデータを活用し、たとえば専門能力の開発など、その学校が力を注ぐべき分野を判断することができる。
教師の質を最優先する
「落ちこぼれ防止教育法」は、教室でなんらかの指導に携わる教師や助手が最小限必要とする資質を挙げている。同法は州に対して、2005-2006学年度末までに、主要科目を教える全教師が高い能力を身につけられるような計画を立案するよう求めている。その実現に向けて、各州の計画には、各地域学区および学校が達成すべき測定可能な年次目標が含まれていなければならない。さらにその進捗状況を、保護者や地域社会に配布する年次報告カードの中で説明しなければならない。
学校にさらに多くの資金を与える
現在、地域、州、連邦の納税者は、生徒一人につき平均8,000ドル近くを負担している。4「落ちこぼれ防止教育法」に基づく全プログラムを対象に、州と地域学区は、かつてないほど多くの連邦資金を受け取っている。2003-2004学年度は237億ドルだった。これは、2000年から2003年にかけて、59.8パーセント増加したことを示している。こうした資金のほぼ半分が、ESEA第I章・恵まれない子供の学力改善に基づく助成金で、それによって要改善と判断された学校は生徒への指導内容を向上させるために必要な資金を確保する。
科学的根拠のある調査
効果を重視する
「落ちこぼれ防止教育法」は、厳密な科学的調査により効果が明白に示された教育計画と授業の普及に特に力を入れている。連邦資金はこうした教育計画の支援に焦点を当てている。学校は、調査ならびに立証された効果に基づいて、指導教材や指導方法、専門的能力の開発計画などを決めたり選んだりすることが求められる。例えば、「まず読解力を」というプログラムには毎年10億ドルの連邦資金が確保されている。この資金で、低学年を教える読解担当の教師は、昔学んだ教え方に磨きをかけたり、科学的調査で効果があることが分かった新しい教え方を身につけることができる。
保護者の選択肢の拡充
保護者に子供の学力向上についてより多くの情報を提供する
「落ちこぼれ防止教育法」に基づき、各州は公立学校の全生徒の読解力と数学について、3年生から8年生までは各学年で、また10年生から12年生の間で、少なくとも1回、学力考査を行わなければならない。2007-2008学年度までに、科学が試験科目に追加される。この際の評価は、州が定めた授業内容と達成基準に照らして整合性あるものでなくてはならない。こうした評価につき保護者には、自分の子供の得意科目と不得意科目について客観的データを通知することになる。
子供が通う学校の業績に関する重要情報を保護者に喚起する
「落ちこぼれ防止教育法」は、個々の学校や学区に関する、読みやすくて詳しい保護者向けの報告カードを州や学区が作成し、成果を収めている学校の名前を挙げて理由を説明し、全体の教育活動の進捗状況について伝えることを求めている。報告カードには、人種、民族、性、英語能力、移住状況、障害の程度、低所得水準の別に分類された生徒の学力データと、教師の専門的能力についての重要な情報が記載される。同法では、こうした規定により、保護者が自分の子供が通う学校についての重要な情報や、子供の生活環境の違いにかかわりなく、その学校がすべての子供たちのために公正に教育をしているか否かについての情報も適宜入手できるようにしている。
要改善校に通う子供の保護者に対して新しい選択肢を与える
第I章に該当する学校が要改善と判断された場合、その最初の年に、保護者には子供の転校についての選択肢が提示される。転校先は、同じ学区内の成績が上の公立学校で、チャーター校(特別認可校)も含まれる。新しい学校へ通学する際、一定経費の範囲内で、交通手段が確保されなければならない。要改善と判断された2年目にも、当該の学校は保護者に公立学校への転校を、引き続き選択肢として提示しなければならない。さらに、転校せずにその学校に残る低所得層の生徒には、無料の個人指導といった補助的な教育上の便宜を選択肢として提供しなければならない。
柔軟性および地域管理の拡大
より柔軟性をもたせる
「落ちこぼれ防止教育法」では、州と地域学区が厳格な説明責任を負うのと引き換えに、連邦資金を一層柔軟に活用できるようになっている。この結果、校長や学校管理者が書類の記入に費やす時間が減り、生徒のために仕事をする時間が増える。彼らは州と地元レベルの政策立案者が適切と見なす範囲内でより自由に新たな工夫をこらし、資金を配分することができる。これにより、地元の人びとの意見が学校活動の決定に反映される機会も増える。
教師の成長を奨励する
「落ちこぼれ防止教育法」は、教師の質を向上させるため、州や地域の判断で新しい方法を柔軟に取り入れることができる。型にとらわれない教員資格検定、主任教師の能力給、改善がとりわけ必要な学校で教えている人々や、数学や科学など主要科目の教師に対するボーナスなどが含まれる。
教師の質向上のための州奨励金プログラム(「落ちこぼれ防止教育法」の第II章に基づく)では、州や地区の裁量で、生徒の学力向上に最適な、教師の専門能力養成計画を選ぶことができる。
図1の解説:図1は米国の教育制度の構造を表しており、就学前から大学院に至るまでの最も典型的な教育コースを示している。
幼児教育の段階は以下の通りである。
* 保育園(ナーサリースクール)(3-4歳)-- 1-2年間
* 幼稚園(キンダーガーテン)(4-5歳)-- 1-2年間
初等・中等教育(1年生から12年生)については、従来から4コースがある。個人が選択するコースは州、学区、またはその個人が勉強する学校によって異なる。段階の種類は以下の通りである。
種類1
* 小学校(エレメンタリー、またはプライマリースクール)(6-13歳)-- 8年間
* 4年制高校(14-18歳)-- 4年間
種類2
* 小学校(エレメンタリー、またはプライマリースクール)(6-9歳)-- 4年間
* ミドルスクール(10-13歳)-- 4年間
* 4年制高校(14-18歳)-- 4年間
単語を検索する方法
種類3
* 小学校(エレメンタリー、またはプライマリースクール)(6-11歳)-- 5年間
* 中学校(12-14歳)-- 3年間
* 高等高校(15-18歳)-- 3年間
種類4
* 小学校(エレメンタリー、またはプライマリースクール)(6-11歳)-- 6年間
* 中高一貫校(12-18歳)-- 6年間
高等教育の段階は、以下の順序が一般的である。
* 職業・技術訓練学校、短大、コミュニティカレッジ(2年制地域大学)
* 学部課程(学士)
* 修士課程
* 博士課程(Ph.D.)、専門課程(医学、技術、法学等)
* 博士課程修了後の研究課程
表1:米国の教育制度一覧表
小中学校在籍者の合計 | 5,300万人a |
6-17歳の人口に占める在籍者の比率 | 98%b |
小中学校教師の数 | 340万人c |
公立小中学校の数 | 93,000d |
私立小中学校の数 | 27,000e |
私立学校に通う小中学校生徒の割合f | 10%g |
公立小中学校生徒1人当たりの平均費用 | 7,524ドルh |
公立学区の数 | 約15,000i |
高等教育の学生数 | 1,480万人j |
2年制大学の数 | 1,700k |
4年制大学の数 | 2,450l |
26歳以上の成人のうち、少なくとも5年間小学校で履修した人の割合 | 98%m |
26歳以上の成人のうち、最終学歴が高校以上の人の割合 | 84%n |
26歳以上の成人のうち、4年間以上大学で履修した人の割合 | 26%o |
出典:データ: 2002 Digest of Education Statistics. (Washington, D.C.: U.S. Department of Education, National Center for Education Statistics [NCES], 2003); 2000 Condition of Education, (Washington, D.C.: NCES, 2000); およびFindings from the Condition of Education: 2002 Private Schools—A Brief Portrait. (Washington D.C.: NCES, 2002). 数字は概数で表している。
- Digest, Table 2
- Condition, Table 1-1
- Digest, Table 4
- Digest, Table 5
- Digest, Table 5
- ○ページの私立学校の解説参照
- Findings from the Condition
- Digest, Table 166
- Digest, Table 87
- Digest, Table 2
- Digest, Table 5
- Digest, Table 5
- Digest, Table 8
- Digest, Table 8
- Digest, Table 8
初期児童教育
米国の初期児童教育(未就学児教育)にはさまざまな形があリ、ナーサリースクール(保育園)、デーケアセンター(託児所)、プレキンダーガーテン(未就園児保育部)およびキンダーガーテン(幼稚園)などが含まれている。「ヘッド・スタート」と呼ばれる就学前教育プログラムもある。これは、連邦資金援助による低所得層の児童のためのプログラムである。「ヘッド・スタート・プログラム」は無料で、低所得層の3歳および4歳児に行われる。全体として3歳から5歳の64パーセントが幼児教育を受けており、このうち52パーセントが全日制プログラムに通っている。(注5)
5歳児の多くは、キンダーガーテン(無料の公立幼稚園)に通っている。(注6) 公立小学校のほとんどがこの無料の5歳児教育を行っており、平均的なクラスのサイズは20人である。(注7) ほとんどすべての公立学校付属幼稚園では、毎日、先生が子供たちに本を読み聞かせている。また大多数が、毎日、走る、登るなどの身体運動をさせており、このほか言葉の訓練、演劇、美術、図画工作、音楽、そして自由時間がある。幼稚園の先生のほぼ半分が、毎日、子供に道具を使って算数や科学を学ばせている。(注8)
米国の幼児教育についての詳細は、以下を参照のこと。
ERIC (連邦政府教育省 教育情報センター)の初等・幼児教育情報センター
The ERIC Clearinghouse on Elementary and Early Childhood Education
「ヘッド・スタート」についての情報は、www.headstartinfo.org/index.htm.
初等・中等教育
基本情報
初等および中等教育は12学年度、つまり12年間に及ぶ。しかし、初等・中等教育の組織は、学区および州で違いがある。一般に、生徒は6年から8年の間、初等教育を受ける。その後、4年から6年の間、中等教育が続く。中等教育の最後の4年間は、一般に「ハイスクール(高校)」と呼ばれる。通常、高校は17歳から18歳までに卒業する。高校卒業後も引き続き教育を受ける者は、職業・技術訓練学校、2年制のコミュニティ・カレッジや短大、または4年制の大学に入学する。これらの教育レベルについては、それぞれ後段で記述する。
公立小学校の平均生徒数は477人である。(注9) 小学校の学年数は地域によって異なるが、これは教育の考え方や学校建物の大きさによる。公立中・高校の生徒数の平均は714人である。(注10) 中等教育は、通常2部に分かれる。すなわち、中学校(ミドルスクールないしジュニアスクール)と高校である。中学校は、通常、地域によって6~8学年、または7~8学年となる。高校は、一般に、9~12学年である。(注11)
すべての州が生徒に通学を義務づけているが、義務教育を課す年齢は州によって異なる。法律で定めた義務教育年齢は、30の州では16歳まで、9つの州では17歳まで、そして11の州とコロンビア特別区では18歳までである。米国の公立学校は税金で賄われ、生徒や家族に金銭的負担はかからない。
生徒は各学年用の教科書を学校から無償で貸与されるが、紙と鉛筆は自宅から持ってこなければならない。ほとんどの公立学校では、緩やかな指針の範囲内で、生徒が好きな服装を着用することを認めているが、ごく一部の公立学校では制服を義務づけており、その数は増えつつある。男女共学が一般的だが、少数の公立学校は男女別のクラスを設けている。
学校の年間スケジュールと日常生活 ほとんどの州では、1学年は180日間である。(注12) 学校の新学期は、ほとんどの地区では8月下旬か9月初旬に始まり、翌年6月まで続く。ほとんどの学区で、12月末に2週間、3月または4月に1週間の休暇がある。一般に、学校の始業は午前8時で、終業は午後3時である。ただし、日常的なスケジュールは学校によってかなり違いがある。
ほとんどの小学生は、同じ教室で終日、全教科を受け持つ一人の担任の先生と一緒に勉強する。クラスで週に1、2度、体育館や図書館に行くこともある。昼休みは約30分である。たいていの学校では、1、2度校庭で遊ぶ休み時間があるが、いろいろな事情により、こうした休み時間を短縮したり、なくす学校も増えつつある。ほとんどの小学校では、毎日の授業時間は時限に分けられているわけではない。むしろ、教師が生徒の学習の必要性や自分の専門知識に基づいて、特定の教科を教えるのにどのくらい時間を割くか、自分で判断して決めている。
中学校、高校では、1日の時間割は5~6時限から成り、それぞれの間に短い休み時間がある。中学生、高校生には、個人別の時間割とクラスの編成がある。その内容は、その地域の卒業必須条件や生徒の興味、将来の目標、学力を考慮しながら、保護者、スクール・カウンセラー、生徒が一緒に決める。中学校および高校の教師は一日中自分の教室にいて、専門科目を教え、全教科を担当することはない。授業時間が終わると、生徒は自分の時間割に従って、別の教室へと移動する。
生徒は、通常、学校のカフェテリアで昼食を取る。中には弁当を自宅から持参する生徒や学校の売店で購入する生徒もいる。米国の生徒の3分の1(低所得層の子供)が、連邦政府の資金で賄われた無料または割引価格の朝食、昼食のいずれか、または両方を毎日食べている。(注13) 学校給食を提供する連邦政府のプログラムについての詳しい情報は、www.fns.usda.gov/cnd
生徒の通学手段 自宅から学校まで距離が徒歩圏を越える生徒には、一般に、学区は無料のスクールバスを提供する。米国の公立小、中、高校の半分以上の生徒が、毎日、このサービスを利用して学校と自宅を往復している。(注14) 子供を学校まで車で送る保護者も多い。また、多くの16歳以上の生徒は自分で車を運転して通学する。
課外活動 特に中学・高校レベルの多くの学校は、スポーツ、クラブ、公演芸術や地域サービスに対して資金援助を行っている。学区によっては、卒業予定者が定められた時間数の地域サービスを行うことを奨励したり、義務づけているところもある。
学期中でも、学校以外の時間を使い、多くの高校生が限られた時間、パートタイムで(職業訓練ではない)仕事をしている。例えば、12年生の68パーセントが学期中に働いており、このうち77パーセントは週に20時間を越えない範囲で働いている。(注15) 飲食サービス業、食品雑貨店の店員、小売販売などが最も典型的な高校生の仕事である。(注16) 米国の法律では、18歳未満は未成年者である。連邦政府および州の児童労働法は、未成年者が従事できる仕事の種類と、その監督・管理、賃金労働の時間数などを厳しく定めている。
カリキュラム
各州は、生徒が何を知るべきか、何ができなければならないかということについて、幅広い教育課程の指標を定めている。学区や学校は、一般的に州のガイドラインに沿って教科書を選ぶ。このガイドラインに定められた範囲内で、学校も先生も、生徒の個性に見合った授業内容や進め方を決めるよう求められている。小学校では、生徒の能力別に特定の教師を割り当てたり、クラス分けをしないのが一般的である。しかし、クラスの中で、教師が生徒の学力レベルに応じて、読解や算数のグループを作ることはよくある。学力が異なるグループの生徒が、クラスのカリキュラムに従って適切なペースで学んでいけるように、能力別のグループに宿題が出されることもある。
中学・高校では、それぞれの生徒の学習内容は、一般に、卒業のための必須科目と選択科目から成る。必須科目は、地域および州によって違いがある。統計的に平均してみると、公立高校の生徒は9年生から12年生の間に、次のような年単位コースを修了する。すなわち、英語を4年間、歴史または社会科を4年間、数学を3年間、科学を3年間、外国語を2年間、美術を2年間、職業技術またはビジネス教育を4年間、コンピューター・サイエンスを1年間、そしてそれ以外の教科を2年から3年間である。(注17)
ほとんどの生徒は高校を17歳か18歳で卒業する。(注18) 留年し、これより遅れて卒業する生徒もいる。中途退学して、1、2年後に復学する者、中退して高校卒業認定資格試験(General Educational Development=GED)を受ける者もいる。GEDは全米で高校卒業資格と同等と見なされている。(注19)
学力基準と生徒の評価
基準 1990年代、ほとんどの州は、教育内容と望ましい成績を定めた学力の基準を用いて、大きな成果をあげた。2001年までに、ほとんどの州とコロンビア特別区は、学力基準を開発し、導入した。これは、生徒が、数学、国語、科学、社会科で何を知っているべきか、何ができなければならないかを示したものである。今ではほとんどの州が、全ての生徒が知っているべき知識の内容を示した内容基準や、どのような成績レベルが基礎、熟達、上級に当たるかを示した成績基準を整えている。(正確な名称は学校のシステムによって異なる。)学力基準設定の仕方は大きく進歩しているものの、基準が高すぎないか、あるいは低すぎないか、明確か適切か、などといった論議がしばしば発生する。
成績判定 生徒の各教科別の学力は、クラスの中の成績段階で評価される。ここで使用される段階評価システムは、一般に、アルファベットを尺度としており、「A」が最高で、最低はfailure(落第)を意味する「F」である。アルファベットのグレードは、特に中学・高校では、生徒の全体的な成績を表すために数字に置き換えられることがよくあり、これを「学業成績平均値 (grade point averages)」(GPAs)という。この場合、A=4、B=3、C=2、D=1、そしてF=0で、学業成績平均値4.0とは、成績が完ぺきであることを意味する。段階評価では、普通は出発点の100を満点として、ここから、誤りや水準以下の回答があれば、それに見合った点数を差し引く。他の段階評価システムなどに見られるように、出発点をゼロとして、点数を加えていくものではない。通常、担任の教師は成績の判定について全面的に責任を持ち、個々の生徒の学業の質的水準、教室でのテストの得点、授業への積極性の度合いなどを勘案して判定する。
進級 学校での次の学年への進級は、主として本人のクラス内での成績によって決まる。生徒の成績が悪く、次の学年への進級には無理があると教師が判断した場合、その生徒は留年させられることもある。こうした決定には保護者も重要な役割を担うのが一般的である。生徒の留年は、小学校の低学年の間が最も多い。州によっては、生徒が中学・高校を卒業するためには試験に合格しなければならないところもある。(注20) その試験の内容や形式、難易度はさまざまである。
生徒の学力試験 州は、特定の学年段階の生徒の成績を評価するために、定期的に試験を行う。州の試験制度の妥当性を判断する重要項目のひとつは、州の学業成績基準との整合性である。この整合性を達成するには、時間と費用がかかるため、時には困難が伴う。州によっては、民間のテスト開発業者から購入した試験を使用する。州独自の成績基準を測るために特別に考案した試験方法を使うところもある。もうひとつ問題となるのは、試験の質をどのように定義し、確保するかである。例えば州は、試験について、自由回答形式の記述問題や数学の問題を主体とするのか、あるいは選択肢方式の問題解答を主体とするかについて、判断しなければならない。
連邦政府の「2001年 落ちこぼれ防止教育法」は、3-8年生と高校生全員に読解、数学、科学の試験を義務づけている。各州、学区、そして学校は、これらの教科で州基準を満たすよう、年間の学習成果をあげるとともに、その成果向上をすべての生徒にもあてはめなければならない。特に結果が注目されるのは、経済的に恵まれない生徒や、人種または民族的に少数派のグループ、障害を持つ生徒、英語の能力が限られている生徒などの学習進捗状況である。
州レベルの試験結果は、一般に、個々の生徒の成績や進級に影響を与えることはない。むしろこの結果は、学校、地域、または州全体の教育の質を評価するために使われる。多くの地域では、マスコミが、標準化された測定方法に基づく地域や学校そのものの成績を報道する。
全国レベルの生徒の評価は、全米学力検査(National Assessment of Education Progress = NAEP)で実施される。NAEPは、多くの教科の全国的な学力を一般国民に知らせることを目的として、1年おきに、全米の学校から無作為に抽出された学校がこのNAEP試験に参加する。NAEPは、生徒個人や学校別の得点を公開することはないが、結果そのものはさまざまな形で公表される。ある生徒群(例えば4年生のグループ)に関する教科ごとの成績、授業体験、生徒数と学校環境との関係、そしてさらに小さなグループ別(例えば、女生徒、ヒスパニックの生徒など)の成績が公表される。
1998年、連邦議会は、州レベルでもNAEPが生徒の学力を評価できるようにする法律を通過させた。多くの学校が、米国の生徒の成績は諸外国と比べてどうかを測定する国際的評価にも参加している。
NAEPに関するさらに詳しい情報は、
ここで述べた国際評価に関する情報は http://nces.ed.gov/surveys/international
学校の選択
公立学校の学区では、一般的に、生徒本人の現住所に基づいて特定の学区内の学校を指定し、学校側も一般的に、こうして指定された生徒をすべて入学させる。それでも保護者が子供のための選択肢が増えるように、多くの公立学校が制度上、学校選択の幅を広げている。「マグネットスクール」、「チャータースクール」、「教育バウチャー」がそれらの選択肢に含まれる。
仮説は、どのようなバッテリーの最長続く
- マグネットスクールは、公立の小学校および中学・高校に属するが、特別なカリキュラムをもち、異なる人種、および社会経済的背景を持つ生徒を相当数引き寄せることができる。
- チャータースクールは、公立学校で、生徒の成績向上について説明責任を持つが、その代わり、学区の規定から独立して運営することが認められている。
- 教育バウチャー制度は、保護者に対する公的な教育資金援助制度で、保護者が選んだ子供の学校の授業料の全額または一部の支払いを肩代わりする。この制度により、保護者は私立学校(宗教関係の有無にかかわらず)および公立学校の双方から子供の学校を選ぶことができる。
公立学校選択プログラムにより、保護者が自分の子供をどの学校に入学させるかについての選択の幅が広がった。こうしたプログラムはどこでも利用できるとは限らなかったが、(現住所で指定された学校ではなく)選択した学校に通う公立学校の生徒の割合は、ここ数年で増加した。例えば、1999年には、公立学校の1年生から12年生までの生徒のうち14パーセントが、家族が選んだ学校に通っており、1993年と比較すると、11パーセントから3ポ� �ント増加した。(注21)
2002年に「落ちこぼれ防止教育法」が施行されて以来、公立学校の選択は新しい局面を迎えた。現在は、州が2年以上連続して要改善と判定したESEA第I章適用校に通う全児童に対しては、別の学校を選択肢として示されなければならなくなった。
(第I章の適用校とは、初等中等教育法(ESEA)の第I章:恵まれない人々の学力向上の規定に基づき、連邦資金を受け取っている学校である。:第I章は低所得層の子供の学力向上を目的としたプログラムを支援しており、現在、全国の公立学校の55パーセントが、第I章の規定に基づき資金援助を受けている。)
学校選択に関する詳細は、
およびwww.ed.gov/about/offices/list/oii/about/choice.html
私立学校
全国で、生徒の多数は地域の学区が運営する公立学校に通学しているが、私立学校も全学校の24パーセント、全生徒の10パーセント、専任教師の12パーセントを占めている。(注22) 私立学校全校のうち79パーセントは宗派と関係があり、残りは宗派に属さない。(注23) 私立学校は、一般的にいかなる政府部門からも独立した団体が所有、管理している。その典型は宗教団体や、独立した受託団体である。選択こそ私立学校の性格を示す特徴である。家族は私立教育を自由に選び、私立学校もまた、受け入れる生徒を選べるからである。すべての私立学校に共通する特徴は、運営や入学者選抜に関して公的介入を受け入れないことだが、多くの面で、私立学校の間でも幅広い違いが見られる。
私立学校は、主として公的財源によらない資金を受けとっている。具体的には、授業料のほか、財団、宗教団体、同窓会やその他の個人的な寄付などの民間資金がある。私立小、中、高校の平均的な年間授業料は生徒一人あたり4,689ドルだが、(注24) 各学校の実際の授業料は、この平均より安い場合も大幅に高い場合もある。
さらに、全米の5歳から17歳の生徒のうち、比較的数は少ない(約2パーセント)が、自宅で教育を受けている者もいる。自分の子供を自宅で教育することにつき保護者が挙げる主要な動機はいくつかある。宗教的信念という人もいるし、家庭の事情によるとか、自宅の方が教育の質や学習環境という点で学校より優れているという信念の人もいる (注25)
私立学校についての詳しい情報は、www.ed.gov/about/offices/list/oii/nonpublic/index.htmlで、また、 自宅での教育についての情報は http://nces.ed.gov/pubsearch/pubsinfo.asp?pubid=2001033で参照できます。
特殊教育
連邦政府の多くの法令は、障害のある生徒に対する教育上の便宜条項を規定しており、連邦政府から資金援助を受けている公的団体や機関が、障害を理由に差別することを明確に禁じている。
障害を持つ生徒の約96パーセントは普通の学校に通っており、障害児教育のための専門施設に通う生徒はわずか4パーセントである。(注26) こうした地元の公立学校に通う生徒のほとんどは、特殊教育の資格を持つ教師と一定時期を過ごすなど、適切な補助と支援を得ながら通常の学級で教育を受けている。通常学級を離れて過ごす時間は、生徒本人の必要に応じて異なる。障害を持つ生徒のおよそ半数は、80パーセント以上の時間を通常学級で過ごす。(注27)
生まれつき優れた才能を持つ生徒に対しても、特別の便宜がはかられる。天分と才能を持つ優秀な生徒は、一般に、普通の学校環境の中ではあるが、特別プログラムを受ける。全米の生徒の約6パーセントがこうした恩恵を受けている。(注28) 州によっては、天分と才能を持つ生徒に対する特別便宜が州の特別教育法で規定されている。
特殊教育に関する詳しい情報は、障害を持つ人々に対する差別を禁止する連邦法も含め、下記ホームページで参照できる。
連邦政府教育省、特殊教育・リハビリテーションサービス局(the U.S. Department of Education's Office of Special Education and Rehabilitative Services )
www.ed.gov/about/offices/list/osers/programs.html
同省、公民権局
(the U.S. Department of Education's Office of Civil Rights)
www.ed.gov/about/offices/list/ocr/aboutocr.html
ERIC (連邦政府教育省 教育情報センター)の障害者・英才教育情報センター
(the ERIC Clearinghouse on Disabilities and Gifted Education)
初等・中等教育のその他の重要事項
宗教と学校 アメリカ合衆国憲法は政治と宗教の分離を定めている。従って、公立学校では宗教団体に帰属したり教義を教えることは認められない。(ただし、歴史、社会科、文学などの教科の一環として、宗教について教えることは構わない。)子供に宗教志向の教育を望む保護者は、前述のように、公立学校ではなく、宗教関係の私立学校に子供を入学させるか、または自宅で教育することも認められる。
生徒の多様性 米国の学校に通う生徒は、世界中のほぼすべての民族的背景や国籍を代表している。最も多様性に富んだ学区は、ロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントン、シカゴなど大都市圏にあるが、生徒の多様化は小規模な市町や農村部でも増加傾向にある。全国平均では、公立学校の米国人生徒の61パーセントが白人、17パーセントが黒人、16パーセントがラテンアメリカ系、4パーセントがアジア或いは太平洋系、1パーセントがアメリカ・インディアンまたはアラスカ先住民である。(注29) しかし、個々の学校や地域における人口構成の特徴は、全国平均と異なることが多い。
米国では、間違いなく英語が政府、ビジネス、社会、教育の場において最も優位を占めている言語である。英語は全米の学校で全生徒に教えられているが、英語以外の400以上の母国の言語も、同じ学校内で使用されている。(注30) 学校によっては、特に初等レベルでは、英語力に限界がある生徒は、一方で英語を学びながら、母国語でその内容を説明してもらう仕組みになっている。公立学校の生徒(3、4歳児教室から12年生まで)の9パーセント以上は、英語能力が十分ではないと見なされている。(注31)
詳しい情報は、連邦政府教育省、限られた英語力の生徒のための英語力習得と言語力・学力向上局
(The U.S. Department of Education's Office of English Language Acquisition, Language Enhancement and Academic Achievement for Limited English Proficient Students)
www.ed.gov/offices/OELA
保護者の参加 校長や教師は一般的に、保護者が学校や子供の教育に参加するよう奨励している。ほとんどの保護者が、毎年、学校での会合や親と教師の会議に出席している。また、多くの保護者がボランティアとして自分の子供の学校で特別指導したり、興味深い分野の特別プログラムを披露したり、校外学習で生徒を監督したり、特別行事を手伝ったりしている。(注32) 障害児の親は、自分の子供の発育を促すために特別に用意された教育活動に参加しなければならない。これは、障害児の「個別教育計画」と呼ばれている。またPTAなどのように、学校を支援するとともに、家族が子供の教育の向上により密接に関与するよう働きかける組織もある。
情報技術 情報技術は、米国の大学やカレッジと同じように、小、中、高校でも広範囲に導入されている。生徒はコンピューターを使ってレポートを作成し、クラスメートとの共同作業を行い、インターネットで調査をするなど、様々な活動に参加している。公立学校の99パーセントがインターネットと接続しており、教室の87パーセントがインターネットにアクセスしている。(注33) 学校での情報技術の利用はますます一般的になりつつあるが、これに関連した新たな課題も生じている。たとえば、教師に適切な訓練をすることによって、情報技術を効果的にカリキュラムに組み込むようにするとか、教育で使用する情報技術の恩恵をさまざまな社会経済的環境にある生徒にゆきわたらせることなどが、その例である。情報技術 の教室への導入に関する取り組みについて詳しくは、連邦政府教育省、教育・技術局のウエブサイトを参照のこと。
(The U.S. Department of Education's Office of Educational Technology)
www.ed.gov/Technology
教師と指導方法
米国の初等・中等教育の教師は4年制大学で教師になるためのトレーニングを受ける。演習や教育実習の必須内容は大学や州によって異なるが、教職希望者が教員資格をとるには学士課程を修了し、1つ以上の試験を受けなければならない。
教師の大多数は修士号を取得し、教職につきながら、さらにトレーニングを終了する。(注34) 州や学区によっては、他の分野の仕事を退職して教職に打ち込もうとする教師を訓練するために「資格中途取得プログラム」を開発した。一般的には、公立学校の教師は教壇に立つ州の教師認定当局の免許を取得しなければならない。「落ちこぼれ防止教育法」は、教師の質の問題にも取り組み、すべての生徒が質の高い教師から学ぶことができるような一定の必要条件を設けている。
表2:米国の公立学校教師に関する基礎的情報年齢の中央値 | 44歳 |
性別 | 女性 74%、男性 26% |
取得最高学位 | 学士 44%、修士 55%、博士 1.7% |
教職経験年数の中央値 | 15年 |
週の平均指導時間 | 49時間 |
年間の平均指導日数 | 180日 |
クラス担任教師の平均年収 | 35,549ドル |
出典:2002 Digest of Education Statistics, Table 70. (Washington, D.C.:U.S. Department of Education, NCES, 2003)
それぞれの州は、独自の教員資格認定試験を行っている。ある州で資格を得た教師は、その州と他の州の間に特別な相互協定がない限り、他の州で教える資格はない。相互協定が結ばれている場合はまれなので、別の州に移った教師は、もう1度教職課程を修了して、新たに試験を受けなければならない。教職希望者は、希望する公立学区、または個々の私立学校に応募し、採用され就職する。ほとんどの教師が同一学年の同一教科を数年間担当して教える。同じ生徒を1年以上教えることはまれである。教師の定年退職や自然減少、生徒数の増加などの要因により、教師の採用と質の確保は米国における現在の重要課題となっている。
平均して、教師は各学区で働く職員の52パーセントを占めている。(注35) 地域レベルの学校管理者は2パーセント、校長および教頭は2パーセント、教員助手は11パーセント、その他の職員が33パーセントである。(注36)
職業・技術訓練教育
職業教育の目的は、歴史的には、大学の学士号より低い学位しか必要としない職業を目指す生徒に、入門レベルの準備をさせることにあった。しかしながら、この従来の狙いは、今や、職業教育プログラムにおいて生徒の学力や職業・技術能力を開発するなど、より広い準備をする方向へ変わってきている。職業・技術教育は、中等教育、高校卒業生、そして成人教育のレベルにおいて行われている。
中等教育レベルでは、州によっては、見習い制度や職業実地訓練を盛り込んだ充実した職業教育制度がある。職業教育制度のもとで学ぶほとんどの公立高校生は、高学年(12年生)の段階で、教師と事業主の監督の下でパートタイムの形で働いている。こうした実務経験は、学校側が整える場合もあるし、生徒が自主的に見つけてくる場合もある。インターンシップ、見習い、個人指導など、さまざまな種類の職業実地訓練の場が提供される。前述のように、米国の児童労働関連法は、18歳未満の生徒に対する職業指導の水準の度合いについて制限している。そのため、ほとんどの職業・技術教育や訓練、特に免許取得を必要とする職業についての訓練は、高校卒業後に実施される。
高校卒業生と成人教育のレベルでは、数多くの公共機関やその他の提供者が職業・技術訓練を行っており、それらは学位取得を目的とするものもあり、しないものもある。こうした機関には、公立のコミュニティ・カレッジや職業・技術専門訓練機関をはじめ、民間の高等・技術学校、事業主、組合、専門職協会、独立訓練機関などがある。高校卒業後の職業教育は、一般に、特定の職業分野のための準備を行うもので、生徒は免許、卒業証書、準学士を取得して終了となる。こうした分野には、工芸、製品販売、医療分野の一部、機器操作、理髪や美容業などの対人サービスがある。職業訓練レベルの学習の中には、より高い教育プログラムを受ける道が開かれるものもある。具体例としては、看護、工学技術などの分野があり、コ ミュニティ・カレッジと大学の両方で学習できる場合が多い。
詳しくは、
「米国の職業訓練:2000年に向けて」を参照のこと。
(Vocational Education in the United States: Toward the Year 2000)
「連邦政府教育省、職業・成人教育局」は以下のサイトを参照。
(the U.S. Department of Education's Office of Vocational and Adult Education)
www.ed.gov/about/offices/list/ovae/pi/grntprgm.html
図2:25歳以上の人々の最終学歴
出典:2002 Digest of Education Statistics, Figure 5. (Washington, D.C.: U.S. Department of Education, NCES, 2002) 数字は若干四捨五入してある。
高等教育
米国における高等教育、つまり高校卒業後の教育は広い範囲にわたっており、多種多様である。高等教育の機関としては、単科、総合大学、コミュニティ・カレッジなど、学位取得を目的とする機関のほか、特定の職業、技術、就職訓練を行う、学位取得を目的としない機関もある。(注37)
単科大学と総合大学
米国にある4年制の単科大学と総合大学は、公立があわせて600校以上、私立は1,800校近くにのぼる(注38) 。 こうした大学で授与される学位は、学士などの学部学位、修士などの大学院学位、そして博士号がある。米国の学位は国の法律で管理されることはない。従って、単科大学も総合大学も学位に使用する名称や、卒業教科の名称などを自由につけることができる。後述の大学認定協会は、学位の称号になんらかの影響を及ぼすことがある。労働市場や専門学会も同様である。
学部学位 米国における基本的な学部学位は学士号である。一般的に、学士号を取得するには4年もしくはそれ以上、全日制で勉強する必要がある。準学士号は、コミュニティ・カレッジで授与されるもので、後で述べるが、通常は全日制で2年間勉強する必要がある。
図3:学士号の上位10位
出典:2002 Digest of Education Statistics, Table 252. (Washington, D.C.: NCES, 2003)
大学院学位 大学院の基本的な学位は修士号で、通常、学士号取得後、1年から2年間、全日制で研究することが求められる。研究博士号(Ph.D.または同等)は、通常、学士号取得後、最低5年から7年間が必要である。ただし、必要な年数は、研究機関や学生本人および研究分野により大幅に異なる。
専門的な職業のための教育および訓練は、学部または大学院レベルで行われる。例えば、一般に、看護、会計、工学、建築は学部学位が必要で、医師、歯科医師、弁護士になるには、大学院レベルの専門学位が必要である。
入学 現住所に関係なく、すべての学生は国内のどの場所にある高等教育機関でも、自由に入学を志願できる。しかし、公立大学の授業料やその他の費用は、一般に、州外の居住者に対して高めに設定されている。教育機関が学生の入学を考慮する際には、多くの要因が勘案されるが、決定に当たっては、通常、以下の事柄が検討される。
起動からプログラムを離陸する方法
- 中等教育における履修成績(例:学業成績平均値)
- 高等教育における生徒の適性を判断するための、標準テストの得点。。(例:大学進学適性試験 [SAT])
- 教師およびその他からの推薦状
- 生徒自筆の小論文
- 指導力の可能性の発揮、および課外活動への参加実績。(例:生徒会、学校新聞、スポーツチーム、クラブ活動、芸術活動および地域の奉仕活動)
米国の単科大学および総合大学についての検索リストは、
コミュニティ・カレッジ
コミュニティ・カレッジ制度は、米国で20世紀初頭に始まった。コミュニティ・カレッジ(ジュニア・カレッジ[短大]と呼ばれることもある)は高校と大学の間をつなぐものとして設立された。通常、準学士号取得につながる2年間の学位取得課程を設けているほか、さまざまな学問・職業分野について、短期で取得できる資格や学位を認定するプログラムがある。全米で、およそ1,700の2年制カレッジがある。(注39)
多くの人々がコミュニティ・カレッジに入学するのは、特定の職業技能を習得したり、最新のものを学び直したり、基礎技能を身につけたり、個人的関心事を追求したりするためである。一方、コミュニティ・カレッジで1、2年勉強してから4年制の単科大学や総合大学に転入し、残りの学士号取得課程を修了する者もいる。ほとんどのコミュニティ・カレッジはGEDプログラムや成人識字能力プログラムも開講している。コミュニティ・カレッジは、一般に、地元の市民や事業主の要望に応じた学習課程を提供し、学校を運営している地域に対する責任を果たそうとしている。
コミュニティ・カレッジについての詳しい情報は、www.gseis.ucla.edu/ERIC/eric.htm
営利機関
公立および私立の非営利教育機関のほかに、米国の高等教育部門には「プロプライエタリー・スクール」と呼ばれる私立の営利機関が存在する。この機関は高校卒業生を対象とするすべての学位授与機関のうち19パーセント(注40)を占め、高等教育の学位授与機関に通う全学生の約13パーセントを占める。(注41)
プロプライエタリー・スクールは、経営管理、コンピューター技術のような特定分野の実践的訓練を行い、多くの分野の学位を授与している。こうした学校が授与する学位の幅は広く、一週間で取得できる資格から、学部および大学院の学位まで多岐にわたる。
ほとんどの学校は、働く成人の都合に合わせて、夜間または週末に開講するプログラムを設けており、学校によっては、遠隔教育で指導を行っているところもある。プロプライエタリー・スクールは、基本的には総合能力を強化するためのコースを開講しているものの、市場の要請に応える機関であり、主として就職に焦点をあてた学習プログラムを学生に提供している。大学認定協会から認定されるプロプライエタリー・スクールの数は増大しつつある。
管理と資金調達
高等教育のレベルの私立教育機関のすべて、および公立教育機関のほとんどは、米国法の下で法人として免許・資格を与えられており、学務、運営、資金調達、財源配分、広報に関して、法的に独立し、自治性を持っている。こうした機関は、一般に、「理事会」あるいは「評議員会」と呼ばれる市民運営委員会の管轄下にある。この委員会は、運営方針に関する最高権限を持つ。同時に教員や学生で構成される他の下部委員会も、程度の差はあるが、運営に参加する。理事会(または評議員会)は、一般に、その機関の最高経営責任者(理事長)を採用する責任を持つ。
公立、私立にかかわらず、こうした機関は主として4種類の財源に依存している。すなわち、学生の授業料、受験料や書類交付手数料、政府資金、機関の投資と保有資産、および寄付である。研究機関の場合、政府および民間部門からの助成金や契約金を受け取ることもある。教育指導機関の場合は、事業者に研修サービスを提供し、報酬を得ることもできる。公立も私立も、ほとんどすべての機関が授業料を徴収しているが、公立機関の方が私立に比べて低額である。
単科大学への支払い
多くの単科大学の学生が学資を補うため、アルバイトをしている。一方、支出を賄うために、研究助成金、奨学金、ローンを利用する者もいる。全米の高等教育のレベルの学生の半分以上、すなわち55パーセントが、学資を補うための資金援助を何らかの形で受けている。(注42) 奨学金や研究助成金は、一般的に、州のほか、さまざまな非政府組織が提供している。しかし、そうした学資援助の中でも最大の単一資金源は連邦政府であり、助成金、ローン、勤労学生補助金として年間600億ドル以上を提供している。
学資援助についての詳しい情報はwww.ed.gov/about/offices/list/fsa/index.html
高等教育の認定
米国は、高等教育機関を全国的に管理するような中央集権的な行政機関を持っていない。州は、さまざまな度合いで教育を管理しているが、一般に、高等教育機関は、かなりの独立性と自治性を持って運営することが認められている。その結果、米国の教育機関には、その使命やプログラムの質の面で、大幅に違うこともあり得る。
米国では、教育の基礎的な水準を確保するため、政府機関に頼らず、現場の教育関係者が教育機関やそのプログラムを相互に評価する手段として認定する慣例が生まれた。この認定を行う主体は、高等教育機関と教育専門家からなる協会である。これらの協会は、当該機関とその教育プログラムの質を評価するための手順を決め、基準を満たす機関を正式に承認する。また一方では、基準を満たさない教育機関の承認を保留したり、撤回することもある。認定された教育機関は、一般的に、生徒の募集や、連邦政府や州からの資金援助、世間一般が持つイメージなどの面で、認定されていない機関よりも有利になる。連邦政府教育長官が承認した認定協会は、すべて、高等教育認定審議会 (CHEA) のメンバーであり、その会員リストは毎年発行されている。
認定についての詳しい情報は、www.ed.gov/admins/finaid/accred/index.html.
海外留学
毎年15万人以上の米国人大学生が、外国の高等教育機関で勉強し、履修単位を取得している。留学先の上位5カ国は、英国、イタリア、スペイン、フランス、メキシコで、最も多い研究分野は、社会科学、経営管理、そして人文科学である。逆に、毎年50万人以上の外国人学生が米国で学んでいる。出身地の上位5カ国は、インド、中国、韓国、日本、台湾で、最も人気のある研究分野は、経営管理、工学、数学、コンピューター科学である。(注43)
成人・継続教育
成人教育は、学習する成人に対して幅広い分野で教育上の便宜を図っており、すべての教育レベル、科目、教育目的を網羅している。その内容は、一般に、人生や実務の経験があり、家庭を持つ成人が、個人的または仕事上での理由で、知識や技能を更に高めるために、教育を受けたいという必要を満たすための便宜である。
成人基礎教育は、中等教育修了程度かそれ以下のレベルの読解、数学、作文、批判的思考方法について指導を行うものである。成人基礎教育は、とりわけ、学校を中退した者や、それまで教育を受ける機会が十分ではなかった移民に適用される。こうした人々の多くは、英語能力向上のための基礎的指導を必要としている。
成人継続教育は、一般に、中等教育修了または高等教育の学位を持つ成人に対して行われる教育をいう。継続教育は、学部または大学院レベルを対象に、通常、個人別のコースが設けられる。そこでは、資格認定のプログラム、あるいは学位取得のプログラムが用意されていて、実務に関する技能向上を目指す学生や、転職のために新しい技術の取得を目指す学生および自己啓発を目的とする学生が教育を受ける。米国では、こうしたプログラムは、高等教育機関、事業主、民間の職業訓練機関および成人教育センターなどによって実施されている。
継続的専門教育(CPE)は、成人継続教育の中でも、免許を必要とする専門職で働いている人のための特別コースである。一般に、こうした専門職に携わる者に対しては、免許更新のため、定期的に再教育を受けることが義務づけられている。
詳しい情報は、連邦政府教育省、職業・成人教育局のサイト参照。
(the U.S. Department of Education's Office of Vocational and Adult Education)
www.ed.gov/about/offices/list/ovae/index.html.
第2部:教育政策と運営
アメリカ合衆国は、50の州、5つの準州、コロンビア特別区から成っている。「はじめに」で述べたように、米国の教育は高度に分権化されている。各州は、合衆国憲法または連邦法の規定に違反しない限り、その管轄内の教育政策を決め、実施する権限を持っている。
以下では、教育政策の立案と実施における政府関連の3段階の役割を説明する。3段階の説明は、まず、州レベルから始め、次いで地域、そして連邦レベルへと進める。第2章の最後では、非政府組織および裁判所の役割について簡単に説明し、教育資金調達の概要についても短く取り上げる。
州政府の役割
ほとんどの州では、教育原則は州憲法で規定され、州議会が教育問題についての最高権限を持つ。この権限には、教育関連法の制定、州の教育予算の計上などが含まれる。
州議会 一般に、州議会は政策立案に関する権限のかなりの部分を、州の教育委員会に委譲している。州教育委員会は、議会または州知事によって任命された市民、または住民によって選出された市民から成るが、その選出方法は州によって異なる。州教育委員会は、州全体の教育政策の承認、予算の優先順位の決定についての責任を担う。場合によっては、州教育委員会が職業および高等教育も含めたすべてのレベルの教育に責任を持つ場合もあるが、多くの州では、委員会は初等・中等レベルの教育を中心に取り組んでいる。(注44)
州教育局 ほとんどの州は、教育に関する公的執行機関として州教育局を設けている。通常、州の最高教育責任者が州教育局を監督し、定期的に州教育委員会、議会、そして州知事に報告を行っている。州によっては、この最高責任者を教育長(superintendent)、審議官(commissioner)、教育指導官(director of education)、または教育長官(secretary of education)と呼ぶところもある。ほとんどの最高教育責任者は、州教育委員会または州知事によって任命されるが、住民によって選出されるところもある。
ほとんどの場合、州政府は以下の項目について責任を負う。
- カリキュラム(教育課程)の指針と成績基準の整備
- 学区と個々のの学校に対する技術的な援助の提供
- 州内における私立小中高校の運営資格の認可
- 教員と学校管理者に対する免許の授与あるいは認定
- 州全体の生徒に対する学力テストの実施
- 生徒の成績についての説明責任計画の立案、および連邦政府教育省への報告
- 高校卒業のための最低要件の決定
- 州および連邦資金の学区への配分
- 年間授業日数の下限設定
州の教育関係機関およびその他の州教育当局については以下のサイトを参照。
地方政府の役割
地域学区 州政府は教育に関する最高権限を持つが、多くの州は意思決定の権限の一部と、公立の小中高校の運営を、地元の教育機関、または学区に委任している。全米には、およそ15,000の学区があるが、それぞれが管轄内の公立学校を監督している。(注45)
地域学区がどのような監督を行うかは、州によって異なる。ほとんどの州は、学区に対し、学校予算の決定やカリキュラムの実施に関する大幅な権限を与えている。実際には、多くの学区は意思決定および予算権限をさらに個々の学校に委譲している。これは現場優先方式(または学校優先方式)として知られている。
地域教育委員会 各学区は地域教育委員会の管轄下にあり、その政策は、一般には、州教育委員会の規定および州議会の法令に準拠したものでなければならない。教育委員会のメンバーは、一般に、選挙で選ばれるが、州によっては他の政府当局が任命するところもある。教育委員会は、学区における政策の実施と日常業務を担当する地域教育長を選出し、採用する。
ほとんどの場合、学区は以下の項目について責任を負う。
- 予算の決定
- 個々の学校およびプログラムへの予算配分
- 教師およびその他の職員の採用
- 生徒の成績に関する年次報告の準備および配布
- 教師および管理者の給与の決定
- カリキュラムの実施
- 現職教師の研修計画の立案および実施
- スクールバスによる生徒通学の調整
- 校舎の建設および保守
- 設備および備品の購入
米国の学区の検索は、以下のサイトを参照。
The National Public School District Locator
連邦政府の役割
上述の通り、教育は、主として州と地方の責務である。しかしながら連邦政府は、全国至るところでどのレベルでも、教育政策およびその実践について、限られてはいるが、重要な役割を演じている。
連邦議会 連邦議会は、国の最高立法府であり、教育に直接的、間接的に影響を与える無数の法律を通過させてきた。例えば、2001年後半には、議会は「2001年 落ちこぼれ防止教育法」(NCLB)を通過させた。NCLB法は、2002年1月にジョージ・W・ブッシュ大統領が署名し、法律として成立したが、初等中等教育法(ESEA)が1965年に制定されて以来最大の変革をもたらす内容を盛り込んでいる。NCLBによって、初等・中等教育における連邦政府の役割は変わり、州と学校に対し生徒の学習達成の成果を測定するよう求めることになった。この法律は、次に述べる4つの基本的な教育改革の原則を含んでいる。すなわち、成績に対するより厳しい説明責任、柔軟性と地方権限の拡大、保護者の選択肢の拡充、そして厳格な科学的調査によって効果的と証明された指導方法の重視である。
連邦政府教育省 連邦政府教育省は、議会が連邦レベルで教育を支援するために成立させた法律を施行する連邦政府の主要機関である。その際、同省は、こうした法律に従って、教育政策を確立し、連邦政府の教育資金援助の多くを執行し、調整する。2002年現在、同省職員の数は約4,800人、予算は540億ドル以上であった。同省の使命は、「全国で、教育について平等の権利を確保すると共に、卓越した教育を促進すること」とはっきりうたわれている。
同省は、その使命を主として2つの方法で実行している。ひとつは、全国で進行中のすべての生徒のための教育改善策をめぐる対話で、長官と同省が主導的役割を担っている。この対話には、国が直面している教育上の諸問題について国民や地域社会の関心を高めたり、最近見つかった指導・学習方法を普及させたり、また、難しい教育問題の解決に向けて地域社会を助けたりといった活動なども含まれている。2つめは、同省は、就学前教育から博士課程終了後の研究に至るまで、教育の全ての分野を網羅するプログラムの実施にあたり、機会の平等と卓越性という2つの目的を追求していることである。
具体的に述べると、連邦政府教育省の主要な活動は以下の通りである。
1. 連邦教育資金援助に関する法律の施行、資金の分配とその使用状況の監視
- 同省は、初等、中等、大学教育における、全国の適格応募者に対して資金援助を行っている。対象には2つのタイプがあり、障害のある人と、才能の有無にかかわらず読み書きができない人。2つめは、移民とアメリカ・インディアンと、限られた英語力しかない人である。
2. アメリカの学校に関するデータ収集、研究調査の監督、ならびに教育者と一般市民への情報配布
- 同省は、教育に関するほとんどの分野の調査を監督している。例えば、各種傾向を示すデータの収集のほか、学習の方法やアイデア、効果的な指導方法を見出すための情報収集などである。
こうした調査には、同省の職員のほか、外部契約者や助成金で雇われた者も参加している。調査の結果や統計は、教育者、政策立案者、保護者、一般市民に対し、レポートや出版物の形で配布され、媒体としては、印刷およびインターネットの両方が使用される。
3. 教育における重要課題および問題の所在を明らかにし、国民の関心をそこに絞り込む。
- 教育長官は大統領に助言を行い、大統領の教育政策を実現するため同省を指導する。そこには、議会に提出する法案の準備から教育調査の優先順位決定までが含まれる。さらに長官はスピーチ、出版活動により、またマスコミとの接触や個人であちこちに顔を出すことによって、国民の関心を教育問題に向けさせる。同省は、全国的会議その他の行事を主催したり、参加することにより、問題の重要性をさらに強調する。
4. 連邦資金を受けるプログラムや活動に差別を設けることを禁じる連邦法を施行し、誰もが教育を受ける平等の権利を得るように保証する。
- 教育省公民権局は、人種、肌の色、出身国、限られた英語能力、性別、障害、年齢にかかわらず、すべての生徒が教育を受ける平等な機会を確保することを意図した、公民権関係の法を遵守させる。これら公民権法のいくつかは、連邦政府教育省の資金を供与されているすべての機関にその適用範囲が及ぶ。すなわち、初等・中等学校、単科大学と総合大学、職業訓練学校、州立および職業訓練のためのリハビリテーション施設、プロプライエタリー・スクール、図書館、美術館などである。公民権局はまた、生徒や保護者、学校、大学が公民権についてより一層理解を深めて、地域ごとに公民権の問題に取り組めるように、ガイダンスを行ない、資金援助をする。
その他の連邦政府機関 教育に関連する事項については、教 育省が連邦政府の主導的な機関であるが、その他の多くの政府機関も、それぞれの使命に関連する分野で、教育活動のための資金援助やその他の支援を行なっている。
こうした機関には、農務省、商務省、国防総省、エネルギー省、保健・福祉省、国土安全保障省、内務省、労働省、そして国務省のほか、全米芸術・人文科学基金、全米博物館・図書館サービス協会、全米科学財団などがある。
連邦政府の役割についての詳細は、www.ed.gov/about/overview/fed/role.html
「落ちこぼれ防止教育法」については、
連邦政府教育省のプログラムについては、
卓越した教育のための連邦政府リソース(Federal Resources for Educational Excellence)については、www.ed.gov/free.
教育政策およびその実施に影響力を持つその他の機関
上述の通り、立法機関、教育委員会、政府機関はみな、米国の教育で重要な役割を果たしている。しかし、その他の部門や団体も、教育政策とその実施に影響力を持っている。
裁判所 裁判所これまで、連邦と州レベルの双方の段階で、教育に直接的、間接的に関連した政策上の論争に方向性を示し、決着をつける上で重要な役割を歴史上果たしてきた。その争点は教育の質や学校資金、教育を受ける平等な権利、教育における宗教の問題など多岐にわたる。特に注目すべき例としては、「ブラウン対カンザス州トピカ教育委員会事件」で、連邦最高裁判所が1954年に下した判決がる。(注46) この事件で、連邦最高裁は、公立学校における人種分離は本質的に不平等であるとの裁判官全員一致の判決を下し、1896年以来の最高裁の考え方を覆した。この判決により、その後、連邦裁判所は南部諸州の学校でそれまで合法とされていた人種分離制度を廃止させることに成功したのである。
非政府組織 多くの非政府組織(NGO)もまた、重要な役割を果たしており、連邦、州、地域政府の3段階の教育政策と、学校での教育実践に、影響力を及ぼしている。これらの組織には、慈善団体、教員組合、PTAをはじめ、その他多くの教育関連団体が含まれる。これらの団体の使命や機能は多彩である。例えば、調査の実施や支援、教育上の便宜の提供、情報の配布、立法や世論への働きかけなどが考えられる。非政府組織の代表は、しばしば諮問会議に参加し、政府のあらゆるレベルの政策立案者と共に課題に取り組んでいる。
ビジネス部門 経済界もまた、しばしばさまざまなかたちで、熱心に教育を支援し、教育政策に影響力を及ぼしている。多くの民間企業が近隣の学校に資金を寄付し、自社の従業員が学校で指導員などのボランティア活動を行うことを奨励している。また、企業代表者の多くが、教育関連の会議に出席し、教育関係の諮問会議に貢献している。
教育資金の調達
米国における教育資金の調達は高度に分権化されており、財源は連邦、州、地域政府のほか、民間や非政府組織からの寄付も含まれる。全米のすべての教育の場(注47)で支出される経費の推計額は7,500億ドルに上るが、このうち約61パーセントが初等・中等教育のための経費で、39パーセントが高等教育にあてられる。(注48) 教育経費の総額は、米国の国内総生産の約7パーセントに相当する。(注49)
公立の初等・中等学校の財源のほとんどは、州および地域政府が出してくれる。もっとも、追加的な資金を出してくれるのは、連邦政府であり企業や財団からの助成金や寄付金、あるいは、保護者や生徒が行う募金活動のようなケースもたまにはある。一般的に、教育資金の最も大きな財源は州政府である。全米の平均を見ると、州および地域政府は、このレベルの教育資金の約90パーセントを負担しており、連邦政府、非政府組織、民間からの拠出金の合計は、全財源の約10パーセントとなっている。(注50)
図4:初等・中等教育の財源
出典:2002 Digest of Education Statistics, Table 157 (Washington, D.C.: NCES, 2003). 数字は若干四捨五入してある。
州および地域政府を合わせれば資金の大半を出しているが、この両者が提供する資金の割合は、州によって大きく異なる。一般的に州政府は、教育支出のために必要な財源を、所得税、法人税、消費税から捻出し、地域学区は固定資産税に大きく依存している。このように固定資産税収に依存しているため、地域レベルの教育資金は、その地域の不動産価値の大小によって相当な差が生じる。財源の不平等を緩和するため、州によっては「資金平等化」法を制定し、すべての学校が生徒1人に一定額の資金を確保できるようにすることを義務づけている。連邦政府も同様に、限られた資金しかない学校に対して、前述の(ESEA)第I章に基づく措置などのような補習プログラムを通じて補助資金を出してい� ��。
ほとんどの高等教育機関は、さまざまな財源に依存して資金を捻出している。財源の代表的なものは、授業料や受験料などの手数料で、一般に私立学校は公立学校より高額である。その他の財源としては、政府資金、販売やサービスからの収入、個人の寄付、助成金、契約金、基金などの収入などがある。(注51) 資金源はそれを出す機関が公立か私立によって大きく異なり、同じ区分に属する機関の中でも個々の違いがある。
図5:公立高等教育の財源
出典:2002 Digest of Education Statistics, Table 334 (Washington, D.C.: NCES, 2003). 数字は若干四捨五入している。
図6:私立高等教育の財源
出典:2002 Digest of Education Statistics, Table 335 (Washington, D.C.: NCES, 2003). 数字は若干四捨五入している。
教育に関する連邦支出の詳細は、
まとめ
米国における教育は、途方もなく複雑で、広い範囲にわたる遠大な取り組みであり、ほとんどすべての市民大きな影響を及ぼしている。従って、教育が米国の最も重要な国民的課題のひとつであることは驚くに当たらない。
1983年に出された報告書『危機に立つ国家』は、米国の教育制度は緊急に改善する必要に迫られていると明言した。以来、わが国の教育改革の取り組みは着実に進んでいる。基準、評価、そして説明責任は、今や米国の教育を構成する明確な特徴となっている。もちろん、これらの概念の定義や履行方法について、すべての関係者の意見が常に一致しているわけではない。
現在、国内のほとんどすべての州が、生徒が何を知っているべきか、何ができなければならないかについての基準を作り、公表している。またほとんどの州で、生徒がその基準に達したかどうかを測る尺度をすでに整えているか、または開発中である。政策立案者や一般市民の間では、教育部門に対して、卒業生の質や授業の内容に責任を持たせることにますます関心を寄せるようになっている。
米国の教育は、主として州および地域学区が管轄している。しかしながら、連邦政府も、教育関連法令や事業計画によって、教育の質的向上に大きな影響力を行使することは可能である。
画期的な「落ちこぼれ防止教育法」により、初等・中等教育に対する連邦政府の予算が増額され、州政府は、連邦政府から交付された教育資金を、以前より弾力的に支出できるようになった。一方で、同法は州に対して、生徒の成績達成基準を設けること、教育機関に対しては生徒の成績に対して責任を負うことを求めている。
この法が施行された結果、2003年6月までに、全50州とプエルトリコ(米の自由連合州)・コロンビア特別区(首都ワシントン)で、説明責任に関する新たな計画が発足した。この中には生徒の学習内容を改善し、恵まれない者も含めてすべての生徒に熟達レベルの学力をつけさせるための戦略が盛り込まれた。
米国の教育は、連邦レベルでの重要な改革と、州および地域レベルで進んでいる刷新の下で、絶えず進化し続けている。その目指すところは、すべての子供が、一人の個人として、また自由社会と世界経済において成功した市民として、最高の能力を達成できるようにすることである。
補足資料サイト
U.S. Department of Education
www.ed.gov/index.jhtml
National Center for Education Statistics (NCES)
Digest of Education Statistics
The Condition of Education
Findings from the Condition of Education 2002: Private Schools—A Brief Portrait
What Works Clearinghouse
Information on Public Schools and School Districts
v U.S. Network for Education Information
www.ed.gov/about/offices/list/ous/international/usnei/edlite-index.html
State Education Agencies (State Departments of Education)
A number of additional Web sites also appear throughout this document.
注記
1 例外は以下の通り。海外に駐留する軍職員の子供のため国防総省が運営する学校、および陸軍、空軍、海軍、沿岸警備隊、商船隊のための5つの学校。
2 2001年 落ちこぼれをつくらないための初等中等教育法(NCLB)は、再度承認(および改正)された1965年初等中等教育法(ESEA)の名称である。この文書では、この法律を「落ちこぼれ防止教育法」と呼ぶ。
3U.S. Department of Education, National Center for Education Statistics (NCES), The Nation's Report Card: Reading Highlights 2002. (Washington, D.C.: NCES, 2002).
4 U.S. Department of Education, NCES, 2002 Digest of Education Statistics, Table 166. (Washington, D.C.: NCES, 2003).
5 NCES, 2002 Digest, Table 43.
6 NCES, 2002 Digest, Table 43.
7 U.S. Department of Education, NCES, 2000 Condition of Education, p. 67. (Washington, D.C.: NCES, 2000).
8 NCES, 2001 Digest, Table 47.
9 NCES, 2002 Digest, Table 95.
10 NCES, 2002 Digest, Table 95.
11 NCES, 2002 Digest, Table 99.
12 NCES, 2002 Digest, Table 128.
13 U.S. Department of Education, NCES, Schools and Staffing Survey, 1999-2000, Table 1.07. (Washington, D.C.: NCES, 2000).
14 NCES, 2002 Digest, Table 51.
15 NCES, 2002 Digest, Table 385.
16 NCES, 2002 Digest, Table 385.
17 NCES, 2002 Digest, Table 139.
18 NCES, 2002 Digest, Table 103.
19 GEDテストは成人が高校卒業と同等の資格認定を得る機会を提供するもの。4年制高校の履修過程で通常修得する総合的な学力と知識を判定する。米国で毎年発行される全ての高校卒業証書の約15パーセントは、GEDテストの合格に基づいて授与されている。GEDテスト受験者の約3分の2は、引き続き高等レベルの教育・訓練を受けることを予定している。
20 NCES, 2002 Digest, Table 154.
21 U.S. Department of Education, NCES, 2002 Condition of Education, Indicator 29. (Washington, D.C.: NCES, 2002)
22 U.S. Department of Education, NCES, Findings from the Condition of Education 2002: Private Schools—A Brief Portrait. (Washington, D.C.: NCES, 2002).
23 NCES, Findings.
24 NCES, 2002 Digest, Table 61.
25 U.S. Department of Education, NCES, Homeschooling in the United States: 1999. (Washington, D.C.: NCES, 2001).
26 U.S. Department of Education, Twenty-third Annual Report to Congress on the Implementation of the Individuals with Disabilities Education Act (2001), Table III-1. (Washington D.C.: U.S. Department of Education, 2001).
27 NCES, 2002 Digest, Table 53.
28 NCES, 2001 Digest, Table 58.
29 NCES, 2002 Digest, Table 42.
30 U.S. Department of Education, Survey of the States' Limited English Proficient Students and Available Educational Programs and Services, 2000-2001 Summary Report. (Washington, D.C.: U.S. Department of Education, 2002).
31 U.S. Department of Education, Survey of the States' Limited English Proficient Students.
32 NCES, 2001 Digest, Table 25.
33 U.S. Department of Education, NCES, Internet Access in U.S. Public Schools and Classrooms: 1994-2001, Tables 1 and 2. (Washington, D.C.: NCES, 2002).
34 NCES, 2002 Digest, Table 70.
35 NCES, 2002 Digest, Table 80.
36 NCES, 2002 Digest, Table 80.
37 collegeやuniversityという言葉は、お互いに同じ意味で使われることがあるし、同様に academy、institute、school、conservatoryという言葉に置き換えられることもある。米国法や慣習はこうした用語の使い方を指定していないし、高等教育機関の種類の中でも区別していない。その代わりに、教育機関のレベルは、その機関が授与する最高学位によって示される。また、学位の種類は研究分野の種類によって示される。米国の高等教育機関の分類で最も一般的に使用されるのは、カーネギー教育振興財団による「カーネギー分類」である。
38 NCES, 2002 Digest, Table 5.
39 NCES, 2002 Digest, Table 5.
40 NCES, 2002 Digest, Table 5.
41 NCES, 2002 Digest, Table 172.
42 U.S. Department of Education, NCES, Student Financing of Undergraduate Education: 1999-2000. (Washington, D.C.: NCES, 2002).
43 Institute of International Education, Open Doors 2002. (Washington, D.C.: Institute of International Education, 2002).
44 州は一般に、高等教育については、初等・中等教育ほど細かい規制を行なっていない。州は、専門理事会や委員会を通じて、なんらかの形で高等教育機関を管理しているが、そうした機関の自治は、一般に、法令や政策で認められている。職業・技術教育、特殊教育、成人教育は、中等、高等レベルの教育と関連して行われることが多く、また州の専門機関によって運営されることもある。資格を必要とする職業の専門的教育・訓練は、通常、州の高等教育担当局や、その下の専門的サービス機関、および(あるいは)特別に任命された免許交付委員会の監督下にある。
38 NCES, 2002 Digest, Table 88.
38 Volume 347, p. 483, United States Reports (Supreme Court decisions)
38 NCES, 2002 Digest, Table 29.
38 NCES, 2002 Digest, Table 29.
38 NCES, 2002 Digest, Table 29.
38 NCES, 2002 Digest, Table 157.
38 NCES, 2001 Digest, Table 330.
謝辞
『米国における教育:その概略』は、連邦政府教育省国際関係担当室長のレオア・ガルシアの指示で発案された。プロジェクト・マネージャーは、国際関係室員のラファエル・M・ネバレスで、E・ステファン・ハントとロイス・ピークが情報収集と編集補助を担当した。
この冊子が出版の運びとなったのは、以下の機関のスタッフが重要な役割を引き受けていただいたおかげである。
連邦政府教育省の限られた英語力の生徒のための英語力習得・言語力・学力向上局(the Office of English Language Acquisition, Language Enhancement and Academic Achievement for Limited English Proficient Students)、教育科学研究所(the Institute of Education Sciences)、特殊教育・リハビリテーションサービス局(the Office of Special Education and Rehabilitative Services)、職業訓練・成人教育局(the Office of Vocational and Adult Education)、高等教育局(the Office of Postsecondary Education)、公民権局(the Office for Civil Rights)、法律顧問室(the Office of the General Counsel)。
また、広報局のビバリー・ブロンデルとジャッキー・ツインマーマンには、本書の発行にあたって尽力していただいた。特に、編集を手伝ってくれたキャシー・パーキンソン、多くの写真(印刷用)を準備してくれたレズリー・ウイリアムズとポール・ウッドに感謝したい。
最後に、世界中から来訪する方々や同じ分野で働く世界中の方々が、米国の教育に関心を持って下さることに感謝する。対話や情報の共有を通じて互いに学びあい、教育内容を向上させ、すべての生徒・学生の人生を充実したものにできるようにしたい、というのがわれわれの願いである。
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